9月13日(水)、今年度第3回目のナイトセミナーは、高橋昭彦先生の柔和な表情・語り口でご自身の手掛ける小児の在宅医療の現場を中心にご講演いただきました。専門性の高い分野であるにもかかわらずリハビリ3職種のみならず、医師や看護師、臨床心理士や行政の方などの総勢98名の方々にご参加いただきました。普段は別の領域に従事されている参加者も全員食い入るように高橋先生の言葉に耳を傾けていました。簡単に講義のポイントをお伝えいたします。
レスパイトケア-レスパイト=一時的な休息という意味で、つまりレスパイトケアとは介護する家族をケアから解放すること、という意味です。高橋先生が代表を務めるNPO法人うりずんの成り立ちも、このレスパイトケアを担当児の親御さんに提供したい、という思いから始まったそうです。高橋先生の実践する小児の在宅医療は、脳性麻痺児から進行性の脊髄性筋萎縮症、各種筋ジストロフィーなど、幅広い小児特有の疾患に対応しており、それゆえ介護に関する身体的・精神的負担の量やその内容は家庭によって個別性がより高くなります。加えて、現在の日本の小児医療制度では高齢者に比べ利用できる社会資源が極めて少ないという現実もこれに拍車をかけているのが現状です。制度の狭間で懸命に戦うこどもは勿論のこと、子どもを支える家族も何とかして助けたい、という熱い思いでNPO法人を立ち上げ様々な取り組みをされてこられたそうです。時には人工呼吸器をつけた子どもを親の付き添いなしで小学校へ通わせたり修学旅行へ同行させたり、時には救急搬送された父親に母親が付き添うためにヘルパーを派遣し子どもの面倒をみたり。既存の概念や制度では対応しきれない困難な状況にも臨機応変に対応し、最大限に子どもと親が当たり前な生活(ADL・APDL・就学・余暇活動・休息、など)をするにはどうしたら良いのか、高橋先生のご苦労は私たちの想像を超えたものであったと思います。そのような生活を支援するためには社会の中で子どもを育てる視点(親に次ぐ人材の育成、シームレスな制度の整備など)が重要で、様々な機関・職種との連携が必要である、と高橋先生は言います。結びの言葉として、他職種連携を円滑にするための「こころ配り」として、「(親身になって)聴く」「出向く」「つなぐ」である、と締めくくり、質疑応答も活発に行われ大盛況の中、講演は終了しました。これまでの高橋先生の事例や実践を拝聴し、できない理屈を考えるよりもできるようにする方法を考えるためには「こころ配り」を通した他職種・地域連携が必要である、ということを学びました。まさに、地域包括ケアシステムの実現には欠かすことのできない心得を得られた研修会となりました。
埼玉県作業療法士会地域包括ケアシステム推進部 鶴ヶ崎直己
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