「作業療法士」が集まって子どもの未来について話し合う、そんな「小児を専門としていない作業療法士の為の研修会」

平成30年7月28日(土)・39日(日)、「小児を専門としていない作業療法士の為の研修会」が開催されました。2日間で総勢22名の参加がありました。県外からの参加者も多く、県の垣根を越えた研修会となりました。「小児を専門としていない」の名の通り、訪問や精神領域で働いているOTや、総合病院だけど発達障害の子どもを見はじめた、など昨今の発達障害の認知の広がりと共に発達分野での作業療法士へのニーズが高まっていることを実感させられる研修会でした。

 

 

両日共午前中は、文京学院大学の西方浩一先生に講演をして頂きました。西方先生は発達だけでなく、作業科学も専門とされている先生で発達だけでなく「作業とは?」という作業療法士が常に抱えているテーマについてもわかりやすく説明をして頂きました。1日目は子どもの作業療法についての基礎知識と、考え方。2日目はより具体的な支援方法についての講義でした。改めて我々作業療法士は作業を使って治療を行う事。そして子どもにとっての作業が「あそび」である事について改めて考えました。普段臨床の場で子ども達と行っている事・起きている事が先生の講義によって整理され、明日からの臨床での視野が広がるお話でした。


 1日目の午後からは埼玉県立小児医療センターの寺尾先生が実際に子どものOTを行っている場面のビデオを見ながら分析を行いました。30秒程の短いビデオから、子どもの行動・運動・言動をみて「こどもがしていること、やっていること」、そして「どうして、なぜそうしたと思うか」を、各グループでディスカッションをしながら意見の交換を行いました。たった30秒の映像からでも、1人では気づかなかった視点をグループの中で共有することでこどもの全体像が見えはじめ、最終的には各グループからこんな事をしてはどうだろう?という子どもの評価に基づいた治療手段もあがりました。そして実際に寺尾先生が行った治療の映像が流れると各グループとリンクする場面がたくさんあり(やらせではなく本当に!)自分たちの考えた事が机上だけの話ではなく、臨床につながってい
る!と体感できるグループディスカッションでした。

困りごと相談会では、実際に臨床場面で困っている事を参加者全員で共有をしながら、西方先生や、小児を専門としているOTから「こんなやり方があるよ、こんな資源があるよ」など具体的な回答を頂き、困りごとの重さが少し軽くなるような、そんな相談会になりました。

2日目のグループディスカッションは埼玉医科大学総合医療センターの中村先生が担当している子どもについて評価・治療の介入までを考えました。さらには「親御さんの主訴について、なぜそのような主訴になっているのか」も掘り下げて考えて行きました。こどものOTで難しいところは子どもだけでなく、育てている親御さんの主訴も大きく影響してくる事や、そしてその主訴の背景には子どもの特性が潜んでいることなど、改めて「主訴って?」「問題点って?」と考える時間となりました。1日目とは違う子どもを見る事で、また新たに気づく事が多かったようです。

 2日間を通して気がついてみると小児を専門としている、専門としていない、の垣根はそこにはなく、「作業療法士」が集まって子どもの未来について作業療法士の視点から話し合う、そんな研修だったと思います。「みんな違ってみんな良い」というように、これだけのOTが集まって各々の考え方や、視点をディスカッションを通してぶつけ合いすりあわせて行く事で、研修を受ける前とはまた違った可能性をもったOTになれたのでは?と明日からの臨床が楽しみになるような2日間でした。

埼玉県作業療法士会子ども支援委員会 小林健哉

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