OTであれば、多かれ少なかれ自助具を自作したことがあるでしょう。用途や目的が同じであっても、作る人の工作技術により使い勝手や耐久性、見た目の美しさに大きな差が出ます。
そこで、ちょっとだけ手が器用なマニアックオヤジの経験をお伝えできればと思います。
まずは、自助具に使用する素材について。
ちょっとした物をつくのであれば、木材や樹脂を使用することが多いでしょう。しかし、耐久性や強度を求めるのであれば、金属を使用する必要もでてきます。金属の中で加工性や耐食性、耐久性にすぐれ、入手しやすいのはアルミニウムです。ホームセンターでも売られています。アルミニウムと一言で言っても、多くはアルミニウム以外の金属を混ぜ合わせたアルミニウム合金です。金属の配合によって性質が大きく異なるのもアルミニウム合金の特徴といえます。
そこで、今回はアルミニウム合金の基礎知識をまとめてみましたのでご覧ください。
アルミ合金
アルミニウムの特徴
・軽い(鉄の1/3)、強い(比強度が大)
・耐食性が良い(酸化皮膜の自己補修作用)
・加工性が良い
・電気をよく通す(銅の60%であるが比重が1/3なので2倍の電流を流せる)
・磁気を帯びない
・熱をよく伝える(鉄の3倍)
・低温に強い(液体窒素-196℃の極低温下でも脆性(ぜいせい)破壊が無い)
・光や熱を反射する
・毒性がない など
アルミ合金の種類
アルミニウム合金には、4桁の数字からなる国際アルミニウム合金名が使用されている。
【1000番台】
純アルミニウム 加工性、耐食性、電気伝導性、熱伝導性はよいが強度が低い
用途:アルミ箔、化学工業タンク類、導電材・航空機、1円硬貨
【2000番台】
Al-Cu系合金 ジュラルミン、超ジュラルミンの名称で知られる高強度材。耐食性に劣る
【3000番台】
Al-Mn系合金 加工性、耐食性(純アルミと同等)、強度が良好
用途:航空機・ビール・ジュース缶ボディ部
【4000番台】
Al-Si系合金 耐摩耗性が良好。4032 鍛造ピストンなど、4043 建築用パネルなど。
【5000番台】
Al-Mg系合金、耐食性はとくに塩分に強い
用途:船舶、車両、航空機・自動車用ホイール、建築用内外装、圧力容器、ビール・ジュース缶蓋部分
【6000番台】
Al-Mg-Si系合金 強度、耐食性が良好
6063 用途:建築用サッシ、スポーツ自転車のリム・ハブ・ペダルなど
【7000番台】
Al-Zn-Mg系合金・Al-Zn-Mg-Cu系合金 高強度材であり、Cu系はアルミ合金中の最高強度である
7075 超々ジュラルミン
用途:航空機など、鉄道車両用構造材、スポーツ自転車ギヤ板、キャンプ用テントのフレームなど
【8000番台】
それ以外の合金。
※ジュラルミン
アルミニウムと銅、マグネシウムなどによるアルミニウム合金の一種で、ジュラルミンには、JIS規格で下記に分類される
【A2017 – ジュラルミン】 (銅;約4%、マグネシウム;0.5%、マンガン;0.5%)
切削加工性、強度に優れた熱処理型のアルミ合金。強度面では、環境によっては鉄鋼材料に匹敵するが、溶融溶接性や耐食性には他のアルミ合金に比べてやや劣る傾向がある。鍛造可能。航空機や油圧部品等に使われている。
【A2024 – 超ジュラルミン】(銅;4.5%、マグネシウム;1.5%)
ジュラルミンよりさらに強度が高く、切削加工性も同様に優れたアルミ合金。ただし強度のかわりに耐食性がやや低く、これを補う合わせ板として、表面に純アルミ系のA1230をはりあわせて耐食性を改善したA2024PCがある。航空機、スピンドル、ボルト、各種構造材料として使われます。
(写真は航空機の腐食した部品)
【A7075 – 超々ジュラルミン】(亜鉛;5.5%、マグネシウム;2.5%、銅;1.6%)
アルミ合金の中でもトップクラスの強度を持つ材料の一つ。強度はあるが、反面、応力腐食割れや耐食性については使用環境に留意する必要がある。このようなウィークポイントを補った合わせ板として、表面にA7072を貼り付けて耐食性を改善したものがある。航空機やスキーなどのスポーツ用品に使われる材料である。加工性については強度に反比例して、アルミの中では悪いほう。
アルマイト(陽極強化被膜)
アルミニウムは空気中にさらすと、表面に薄い酸化皮膜(酸化アルミニウム Al2O3)をつくる。この被膜はアルミニウムの表面を保護し、腐食を防ぐ働きをする。この被膜を人工的に厚くしたものがアルマイトである。電気的絶縁性がある。
アルマイト処理
硫酸やシュウ酸などの電解溶液の中で陽極側
にアルミニウム、陰極側に鉛版を設置して電流を流すと、陽極から発生する酸素とアルミニウムが化学反応を起こしてアルマイトが出来る。このとき、アルマイトには電気の通った微細な孔が無数にあいている。このままでは、吸水性があり汚れの原因になるため、高温・高圧の水蒸気を吹き付けたり熱湯中で処理(封孔処理)して孔をふさぐ。
アルマイト処理をすることで、耐食性、耐摩耗性、耐光性を高め、染料をつかって様々な色を着色させることが出来る。
※アルミニウム自身を酸化させて被膜を作るため、アルミニウム部分の寸法が若干変わる。