2022年10月14日(金)に、地域包括ケアシステム ナイトセミナーを開催しました。今回は、頚髄損傷となった元技術者の方を講師に迎え、「頚髄損傷の元技術者がITを纏って、世界を広げる」をテーマとして、アクセシビリティなどのITを駆使した自宅(スマートホーム)やその生活について、ご講演いただきました。
地域に注目が集まっている昨今、専門職は,障害のある方が退院後に自宅でどのように生活するのか、生活できるのか、どうすればその方が望む生活を送れるのかを予測しながら、病院や地域でリハビリテーションや支援を行う必要があります。今回は、作業療法士や理学療法士などのリハビリテーション職種以外に、看護師、保健師、介護支援専門員、歯科衛生士、介護福祉士など、約100名の専門職種の方々にご参加いただきました。
新型コロナウィルスによる感染症の影響により、地域との繋がりが行いにくい状況もありますが、そのような理由で提供できるサービスの量や質を落とすことは本来はあってはいけないため、このような状況下でどのような解決方法があるのか、どうすればさらに良いサービスを提供できるかをそれぞれの職種が追い求めていることが読み取れ,運営側としても嬉しい気持ちとそれに応える必要性の責任を感じました。
内容は,目から鱗の内容が盛り沢山で、あっという間の120分でした。頚髄損傷となり、電動車椅子での生活をされている様子として、屋外から自宅に入るシステム、自宅内での快適に生活するための環境調整、仕事などについて、ご紹介いただきました。屋外から自宅に入るシステムとしては、電動車椅子に乗って一人で玄関のドアの鍵やドアをどのように開閉するのかをご説明いただきました.自宅内で快適に生活するための環境調整としては,Alexaを利用して音声で自宅内の家電を操作する方法をお話しいただきました.その話の中で,頚髄損傷となり、車椅子での生活となっても、ITの利用や家族、専門職の協力があれば、一般的な家族と変わりなく過ごすことができていると仰っていました。また、仕事の仕方については,音声やチンコントロール(顎でジョイスティックを操作)でスムーズに行っており,今回の研修資料もご自身で作成されたのですが、内容も見栄えもとても素晴らしく、音声やチンコントロールで作成された資料とは説明がなければわからないレベルでした。これほどまでに,音声やチンコントロールを使いこなしている方を初めて見て,アクセシビリティの可能性をとても感じました.
今回のようなアクセシビリティなどのITを駆使したスマートホームについては,元技術者としての経験があった方からこそ実現できたとお話がありましたが,道具の提供や環境調整を行うことで,その人らしい生活を送るための提案をする役割を担っている作業療法士が本来であれば,知っておくべき内容ですし,提案する必要があると思われます.知識や技術があるかないかで,提案できる生活が大きく変わってしまうため,時代に合わせて,色々な情報にアンテナをはり,臨機応変に支援していくことの大切さを改めて感じた研修となりました.ご講演いただいた金子様,とても貴重なお話を誠にありがとうございました.