5月20~21日の土日2日間で、「精神障害を専門としていない作業療法士のための研修会」が開催されました。研修会の日は、絶好の行楽日和であったにも関わらず、たくさんの県士会員の方々にご参加いただきました。
参加者は、精神科を専門としていないということで、身体・発達・老年期など幅広い領域の作業療法士を対象にしていました。この研修会開催の主な目的は、『独り言をブツブツ言っている』『いつも大声で怒っている』『話がかみ合わない』など、精神疾患が疑われる人の対応に困ったときに、怖がらず苦手意識を持たないで関わることができるようにするものでした。
研修内容は、事例を通して統合失調症への理解を深めることや、『幻聴棒』を使って幻聴体験をしてもらい相手に寄り添う関わり方について考える、精神科の常識と考えられていることが実情とは違うということを『精神科の都市伝説』として説明するなど、バラエティーに富んだ内容でした。精神科の見たてと判断という講義では、県内の精神保健福祉士をお呼びして精神科の緊急対応や見立て、支援体制について話をしていただきました。
また各講義では、『突っ込み座長制度』を取り入れ、講義中に突っ込み座長が講師に対し素朴な疑問や更に深く話を聴きたい時に質問することで、痒い所に手が届くような一風変わった演出もありました。土曜の研修の最後には日頃の困りごとについて意見交換を日曜の最後には事例検討を行い、時間をたっぷり取って考えて・話して・共有する時間を設けました。2日間を通して、笑い声や驚きの声が絶えない研修でした。
土曜日の懇親会では、若手から超ベテランまで職域を超えて盛り上がり、当然作業療法士が集まれば話す内容は仕事のことで(洗濯機修理のクレームの付け方の話や実は同い年だったトークなどもありましたが)、その中のお一人が『結局目指す所は、同じだね』と話していたことが強く印象に残りました。
研修会のアンケート結果を見て、自分たちが考えていたよりも参加者に満足していただけた印象を持ち、ホッとしているところです。また、より良い研修会にするために貴重なご意見も多数いただいていますので、第2回精神障害を専門としていない作業療法士のための研修会を秋頃の実施に向けて準備を進めていきたいと思います。
(実行委員長 佐藤竜也)
研修内容
◆1日目
① 総論:精神科と精神障害と作業療法~困った人は困ってる~(講義)
② 統合失調症の理解と支援(講義)
③ あなたの知らない幻覚妄想の世界(講義+体験)
④ 困りごと交換会(意味のある雑談)
⑤ 懇親会
◆2日目
⑤ 暴言・暴力が起こるワケとその対応(講義+GW+体験)
⑥ 精神障害のみたてと判断~緊急対応のポイント~(講義)
⑦ 事例検討会「キャベツとバリケード」(グループワーク)
<精神障害を専門としていない作業療法士のための研修会実行委員会>
佐藤竜也・蒔苗里沙・荻野洋子・西村稲穂・土屋佳美・宇田英幸(県立精神医療センター)
土屋美樹(小川赤十字病院)
大橋秀行(埼玉県立大学)
佐治暢(東大宮訪問ステーション)
坂爪志成(済生会川口総合病院)
小林直人(さいたま記念病院)
南雲加奈(介護老人保健施設ハーティーハイム)
鈴木真弓(埼玉医科大学国際医療センター)00