11月13日(月)、今年度最後の地域包括ケアシステム研修会は、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」への出演や、今年公開の「ケアニン」という映画のモデルで知られる“あおいけあ”の加藤忠相先生をお招きして、『認知症で人生終わりになんてさせない』というテーマでご講演いただきました。認知症者が地域の担い手となるための気概と手法について語られ、それは言葉では表せないほど熱く、とても感動的な研修でした。簡単に講義の内容を紹介いたします。ポイントは大きく分けて次の3つだと感じました。
一つ目は、スタッフ間あるいは多職種で「良い人間関係を築く」というトップゴールを共有し、「そのために何をしたら良いか自分で考える」よう求めることで地域の誰もが通いたくなる場所づくりができるということ。認知症者の行動の1つ1つをどう押さえようか考えてもお互いに苦しくなるだけだとお話されていました。
二つ目は、病院や施設の日常のルールを守ることではなく、“良い感情”を残すようにかかわることでケアは楽になるとのこと。何かを行おうとして3分以上時間がかかる場合は嫌な感情を残してしまうので、諦めて関わり方を変えるほうが良いそうです。
三つ目は、「Aさんに」~をしてあげる「世話」ではなく、「Aさんと」~をするのが「ケア」であり、「Aさんが」~するのが「自立支援」であるということ。そのために、作業を「提供する」のではなく作業について「相談する」感覚でかかわり、地域で活躍していただけるよう支援していくべきと語られました。
これらのことを実践し、“あおいけあ”では「認知症者をみている」という感覚はないそうです。認知症者とスタッフが一緒に暮らしているような印象を持ちました。
そしてなによりも、既成概念や制約にとらわれることなく、地域に住む人たちのことを真剣に考えている加藤氏の姿勢に約120名の参加者の皆様も心を打たれたはずです。見習うことが多かったですが、見習ってばかりでなく、我々もそうあるべきだと心を新たにした研修でした。
地域包括ケア推進部 野村健太
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