平成29年12月16日(土)に越谷市中央市民会館にて『若年のつどい・越谷』が開催されました。本日は埼玉県作業療法士会から9名の作業療法士に協力をしてもらい、5名の当事者、10名の介護者に加え、主催の「認知症の人と家族の会」埼玉県支部の方々、埼玉県若年性認知症コーディネーター、近隣のボランティア、学生ボランティアなど総勢37名での開催となりました。
若年のつどいも県内4ヶ所で月に1回の頻度で行われることとなり、当事者や介護者、スタッフも複数回参加される方々が増えてきました。複数回参加することでお互いが顔見知りとなり、再会を喜んだり、近況を話し合ったり、相談しにくいことも相談したりと、参加されている皆さんがこのような場の存在をとても大切に思っているのだと感じました。
会の後半では、当事者グループと介護グループとが別室に分かれて活動を行う時間が設けられました。当事者グループでは、お互いの好きな食べ物を含めた自己紹介から始まりました。お互いの好きな食べ物について共有し合ったことで開始早々とても盛り上がり、絶好のスタートとなりました。その後は、グループ活動として新年に向けた年賀カード(戌)の作成と音楽活動、新聞紙を使用した活動などを当事者の方々と共に行いました。年賀カードの作成では”色を塗る”という作業でしたが、出来上がった戌の年賀カードは同じ物が一つもなく、皆さん思い思いの「戌」が出来上がりました。また、色鉛筆やクレヨンを普段握ることがない方も参加してくださり、きっとこれまでの長い人生の中で年賀状を作成した思い出や誰かに手紙を書いた思い出など、この活動の背景に色々な思いや経験があることを感じさせてくれました。音楽活動では、音楽が流れると、口ずさむ方、合いの手を入れてくれる方、体でリズムを取る方など、皆さんができる範囲で参加していただき、色々な参加形態があることも感じました。
今回の活動はグループ活動を中心に進行しましたが、その中でも他の作業に挑戦する方や散歩に行かれる方など、集団活動をしながら個別性を活かした活動をすることができ、当事者の方々が主体的に活動できた時間になったと思います。認知症になると多くのことができなくなってしまうイメージが強いですが、このような活動を通して、まだできることがたくさんあること、その人が過ごしてきた人生を感じられること、何度参加しても新たな一面を発見できることを体験でき、スタッフとして参加はしているものの、こちらが勉強させていただくことも多い貴重な会であると改めて感じました。
介護グループでは、今回2グループ共に作業療法士が同席させていただきました。お話の内容は、介護者同士で情報交換をしたりアドバイスをし合うことが主でした。その中で印象的だったことが2つあります。
1つ目は、「やっとの思いで受診したにも関わらず本人の目の前ではっきりと診断され、その後しばらく医療機関などに行きたくなくなった」というお話です。今回のグループ内でもお2人、以前の介護者グループでもそのお話が挙がり、病院に勤めている者として身の引き締まる思いでお話を聞きしました。早期診断、早期絶望とならないよう、診断後のサービス提示だけでなく、精神的な支援が大切であることを改めて感じました。そういった支援を必要をされている方には、普段病院で働いているだけでは出会う機会がありません。普段の仕事から少し離れた形で出会うことができ、またそこで感じたことが仕事に戻った時に大いに役立っていると感じています。
2つ目は、介護者の方から作業療法士の名前が聞かれたことです。以前の自身の経験からは、作業療法士の認知度は低い印象でしたが、「訪問で来てもらって知った」という方が複数名いらっしゃいました。お1人の方は、以前の介護者グループの中で訪問作業療法のお話を聞き、どうしたら利用できるのか相談をしてくださいました。医師の指示が必要であること、ご自宅近くの精神科訪問看護ステーションなどの情報をお伝えし、ご利用ができるようになりました。専門職が介護者の方にできることは本当にわずかだと感じますが、こうした架け橋の一因になれたことは自身の自信になります。普段の仕事だけでは経験できないことを沢山経験させていただけるので、つどいへの参加は自身の学びの場となっています。
「認知症の人と家族の会」埼玉県支部の方から、「作業療法士会が参加し始めたことで、活動の幅が広がったことや、当事者の色々な面を引き出せたこと、これからも当事者や介護者のためにみんなで考えていけたら良い。」という言葉をいただきました。私たちの活動が、同職種以外の方に届き認められることはとてもありがたいことです。そのため、このような活動を継続することの大切であり、これからも多くの人々の生活が豊かになるよう、OTの力を存分に発揮し続ける必要性を再認識した時間となりました。
(編集)あさひ病院 石井 晶
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