平成30年11月23日(金)、24日(土)、
『小児を専門としている作業療法士のための研修会(セラピスト養成講座)』
が開催されました。養成講座は、日頃から臨床でお子さんと関わりを持っている“小児を専門としている”作業療法士9名が参加しました。3人1グループになり、実際のお子さん2日間来ていただき、40分セラピィを行い、その後ビデオを確認しディスカッションしていくという実践型のケース検討会です。
講師は、愛知県心身障害者コロニー中央病院の小松則登先生です。研修会の始まりは、小松先生からセラピィの組み立て方や、お子さんの行動を考えその行動の背景にある特性を言語化していくこと、お子さんの「Strength=強み」と「Weakness=課題」について考えいくことの重要性を教えていただきました。実際の臨床場面でお子さんの特性を掴み関わることが出来ているか、1対1で40分間お子さんと戦い抜くことができるか、中身がない作業療法士になっていないか、ということを改めて考える時間になりました。
参加者同士は、初めて会う人も多く「最近、職場でもディスカッションする機会が少なくなってきたので言語化することが不安です」と最初は皆さん緊張している様子でした。
一日目の午前中は実際にお子さんに来ていただき、お母さんへのインタビューから始まり、その後40分間お子さんとセラピィを行いました。午後はその様子をVTRで確認し、お子さんにどんな行動特性や認知特性があるかを考え、お母さんの主訴やお子さんの問題点を確認し、明日、お子さんとどんな関わりをするのか、セラピィの基本方針を立てていきました。一つのシーンを何度も繰り返し見て、考えて、考えてみんなで意見をまとめました。自分が気付けなかったお子さんの行動に他のメンバーが気づくこともあり、内容の濃いディスカッションは夕方まで続きました。その後、グループごとに発表し自分のグループのお子さんだけではなく、他のグループの意見交換することでさらに考え方の引き出しが広がったように感じました。
二日目は、朝早くから集まり、お子さんの反応が引き出しやすいよう遊びの枠を決め、段階付けを行うなど、日頃からお子さんと関わっているセラピストならではの遊びを組み立てていました。二日目は、お子さんたちもセラピストに馴染んできたのか、初日よりはスムーズに遊びに参加することができました。仮説を立てそれを言語化すると、自然と体も動き40分があっという間に感じました。お子さんの自然な笑顔や反応が引き出せた時は、セラピストからも笑顔が出ました。その後は、再度グループワーク。VTRを見返し、今日のハイライトシーンを見つけ、なぜそこが良かったか、昨日のセッションとの比較や変化が見られた場面をみんなで考えました。
二日間、お子さんと真正面に向き合い考え抜くことで自然と「なぜ?」が生まれてくる。そして「なぜ?」を突きつめ“考える癖”をつけることで子どもの行動背景が徐々に紐解けたように感じました。VTRで自分のセラピィを見る、グループ同士でディスカッションする、みんなに伝える、ゆっくり時間をかけてお子さんと向き合うことで、自分たちの『Strength,Weakness』と見つめ合う時間にもなりました。それらを知ることにより、セラピストとして今後の臨床力の向上へ繋がり、それがお子さんの成長の手助けとなるのでは・・・と、強く思った熱い二日間でした。