この日、体育館の中は師走の寒さが消し飛ぶような熱気に満ちていました。
平成30年12月8日(土)、さいたま市にある与野体育館で『第2回埼玉県ソフトバレーボール&卓球大会(SV&Tリーグ)』が行われました。この大会は、若年性認知症の当事者や介護者同士の関係づくり、専門職や医療・介護・福祉に関わるスタッフ同士の交流の場として開催しています。第2回を向かえた今回も大盛況で、若年認知症ご本人・その介護者やご家族の方々が約50人、専門職員や県・さいたま市職員などボランティアスタッフが約50人、総勢100人と大変多くの皆様にお越しいただきました。
開会式前、受付を済ませた参加者は各々チーム分かれて昼食をとりました。これは昨年の反省を活かし、よりチームや参加者同士の交流を深めることを目的に今回初めて取り入れました。食事を共にしながら友好を深めてもらおうというねらい通り、チームの中では自然と自己紹介がはじまり、楽しく談笑したり作戦を考えたりと徐々に打ち解けあう様子がみられました。昼食後の練習でも、バレーの練習をしながら立ち位置や作戦を練ったり、卓球の得意な参加者にラケットの持ち方や打ち方を教わったり、ひたすらに長いラリーをしたり…と既にチームワークが出来上がっていました。専門職スタッフの皆さんが率先して声をかけて場の空気を作ったり、さりげなくフォローしている姿を見て、「さすが!頼もしい!」と改めて感心致しました。
参加者の中には、自身の身体機能に自信のない方も見受けられました。しかし、そのような不安はどこへやら、試合が始まるとコート内を走り回り、かけ声を出しながら楽しそうにプレーをしていました。表情の硬かった方から徐々に笑顔がみられるようになったり、自らチームメイトに話しかけたりと変化がみられるようになりました。皆様にとって少しでも有意義な時間になったのではと感じ、とても嬉しい気持ちになりました。大会の最後には、認知症の方と家族の会(埼玉県支部)の花俣ふみ代代表から参加証が手渡され、どなたも笑顔いっぱいで受け取っていた姿が印象的でした。
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専門職スタッフの皆さんにもいろいろとプログラムを担当していただきました。埼玉県理学療法士会の皆さんには、開会式で準備体操を、con*brio(精神障害者バレーボールチーム)には、昨年に引き続きバレーボールの審判を担当していただきました。様々な職種の皆さんに協力していただくことでそれぞれの強みを実感し、共有し、交流を深めることができたと思います。
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今回の大会を運営から関わらせていただいて感じたことは、当事者や介護者同士の交流の場の重要性です。若年のつどいなど盛んに行われているものもありますが、まだ交流の機会は少なく感じます。この大会での出逢いが新たな交友関係のきっかけになればと思いました。また、当事者自身が意欲的に何かに打ち込んだり、介護者や職員としての立ち位置でなくチームメイトという平等の立場で交流するということも重要な意味合いがあると感じました。また来年も、ひとりでも多くの参加者に「楽しかった!」と思っていただけるような大会を開催したいです。
SV&Tリーグ担当
あさひ病院 石井晶