去る平成30年12月16日、公益社団法人 認知症の人と家族の会が主催の『2018年度 本人(若年)のつどいを考え、広める研修会』に埼玉県作業療法士会会長、認知症地域支援推進部副部長、埼玉県作業療法士会員の4名で参加して参りました。
研修会には、全国の認知症と家族の会の各支部の代表や世話人の方々、当事者の方とそのご主人、作業療法士など約100名が参加していました。
研修会の冒頭では、全国の家族の会の副代表理事、埼玉県支部代表である花俣ふみ代氏が、あいさつの中でつどいに参加されている若年性アルツハイマーの夫をもつ奥様からの手紙を読み上げてくださいました。以下、手紙の中の一部抜粋です。「主人の記憶はだんだん減っていっていますが、つどいを通して多くの人と出会い、様々なことを経験し、その分新しい思い出が増えています。」この一文を聞き、切なさを感じるとともに心がほっこりと暖かくなりました。
昨年の同研修会にて、当認知症地域支援推進部の倉元部長より、「認知症の人と家族の会 作業療法士会との協業で得たこと」と題し、作業療法について、認知症地域支援推進部について、若年のつどいの中で心がけていることや作業療法士の役割、実際の対応、共催の中から得たものなどを報告させて頂きました。
今年の研修会では、昨年の研修会を経て、新たに作業療法士会との連携を始めた山口県支部、広島県支部、熊本県支部、茨城県支部、鳥取県支部のそれぞれの代表の方から、「オレンジカフェやつどい等での作業療法士会との連携や取り組みについて」というテーマで実践報告をして頂きました。
報告の中では、当事者が過ごしやすい最適な環境設定をしてくれたり、個人を評価し相性のいい人と人とをつなぎあわせたり、誰も気づかなかった参加者の異変に気付いて対応してもらい、作業療法士に関わってもらってよかった、とうれしいエピソードを聞くこともできました。
また、今年の研修会は、当埼玉県作業療法士会の他に、日本作業療法士会 認知症担当理事の小川敬之氏をはじめ、鳥取県・広島県・山口県・熊本県から計13名の作業療法士が参加していました。研修会の後半では、13名の作業療法士それぞれがグループに配属され、研修会に参加している全国の支部の代表や世話人の方々とともに、「本人・若年のつどいを継続(開催)していくために支部の実情と課題について」「現状報告をきいて支部でいかせそうなことについて」をテーマに、グループワークを行いました。
支部の方の中には、「つどいのサポーターが、なぜ他の専門職ではなく、作業療法士なのか?作業療法士に介入してもらう利点はなにか?」という疑問を抱いている方もいらっしゃりましたが、他の支部の方が、専門性や協会の認知症支援の取り組みの観点から、作業療法士が関わることでの良かった点等を説明してくださった一面もありました。
今回の研修会に参加し、今後作業療法士がつどいに参加するにあたって、専門性を活かし、”当事者の方が何を考えていて何をしたいか“の想いを聞いたり推測し、認知症の人と家族の会と、より一層の協業・連携ができるよう励んでいきたいと思える貴重な機会となりました。
時間にすると5時間という短い時間でしたが、その中で認知症のある方、そのご家族、そしてそのすぐ近くで支えていらっしゃる方々の様々な熱い想いに触れる機会となりました。
その想いは時にプレッシャーに感じることもありますが、「OTさんと協力出来て」と感謝されたり、「こちらからも繋がれるようにアプローチしてみます」と求めてくださる方がいらっしゃることに嬉しさや有り難さを感じました。
もちろんそこには様々な形の課題もあると感じましたが、そうした課題を様々な視点や方法を用いて解決していくことが作業療法士にはできると思うので、他者と協力しあいながら、今よりも良い状態となれるよう士会員が一丸となって考え、行動していけたらと思います。
認知症地域支援推進部 真下麻奈美 (西部総合病院)